自筆証書遺言とは、全文を自分で書く遺言のことです。よって・・・

×代筆

×ワープロやパソコン使用によるもの

判読しやすい文字で丁寧に書くことが重要です。

 

民法には自筆証書遺言に関する要件が定められていて、この要件を満たさないと遺言として認められません。

 

①自筆証書遺言は必ず本人が、全文自筆で書きます。
 これは、遺言書の偽造を防ぐためです。上記の通り、ワープロやパソコンの使用があると無効となってしまいます。
②必ず日付(年月日)を記入します。
 「平成○○年○月○日」など日付が特定できるように書きます。「平成○○年○月吉日」という書き方では無効となります。
③遺言書には署名・押印をします。
④訂正したら、署名し訂正印をします。
 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者がその変更場所を指示し、変更した旨を付記、署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じません。もちろん、最初から書き直したほうが正確な場合は、書き直しをしたほうが良いでしょう。
⑤封筒に入れて封をし、押印して封印をします。
 自筆証書遺言の場合、封印をしていなくても無効にはなりませんが、第三者による改ざん等を避けるために封印した方が良いでしょう。なお、自筆証書遺言と秘密証書遺言は家庭裁判所にて検認の手続きを執らなければなりません。よって遺族に遺言を開封されないように、「開封せずに家庭裁判所に提出すること」と書いておくとよいでしょう。

※検認を怠った場合、罰則が設けられています。

下記民法条文、1005条参照

 

 

自筆証書遺言の長所と短所

<長所>

■遺言の存在を秘密にできる

■公正証書遺言と違って費用がかからない

■変更、撤回が容易にできる(一番最後の遺言が最新かつ有効)

 

<短所>

■遺言の改ざん、紛失の可能性がある

■家庭裁判所にて検認の手続きが必要になる

■遺言者が遺言書の存在を知らせていない場合、発見されないおそれがある

民法条文

 

(自筆証書遺言)

第九百六十八条  自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

 

(遺言書の検認)

第千四条  遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。

2  前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。

3  封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

 

(過料)

第千五条  前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。